押し入れから出て来たストラトその3

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 ジャパンビンテージと呼ばれる、"マツモク製"のアリアプロ製のストラトが2本手元に揃った訳ですが、ここでうんちくをば一つ・・・(^_^;)

 

 押し入れから出て来たのは、1977年製。そして今回オークションで手に入れたのは、1980年製。たった3年ではありますが、この間、日本のストラト&レスポールは、がらりと変わりました。

 ぱっと見てすぐわかる違いは、ヘッドの部分でありますが、77年まではいわゆる「デカヘッド」でありますが、80年製はオールドスタイルのスモールヘッドになっており、ペグもクルーソンタイプに先祖帰りしております。

 ピックガードも11点止めから8点止めに、また木材などもしっかりとしたグレードの高いものを使う様になりました。

 なぜこのような時代に逆行するようなモデルチェンジが行われたかというと・・・、「TOKAI(東海、トーカイ)」の出現が原因であります。

 それまでは、デカヘッドで、色はナチュラル、またはホワイト、いわゆる「リッチーブラックモア風」のストラトが売れ筋であったはずなのですが、 1977年暮れに TOKAIが発表したストラトキャスターは、フェンダーオールドの完璧なコピー品でありました。これが木材からパーツ、配線、ピックアップまで、徹底的にオールドを研究したものでありまして、塗装もちゃんと木目が見えるサンバーストでした。これが大ヒットいたしまして、巷ではフェンダーを買うより「TOKAI」を買った方が良い、とまで言われていたと記憶しています。当時高校生だった私も、「TOKAI」のカタログを、憧れの眼差しで眺めていたのを思い出します。

 そんなエポックメイキングなギターの登場で、それまでリッチー仕様を主流にしていた他の国産メーカーも、こぞってオールドスタイルに右習えで方向転換をしたのでありました。

 という訳でこの2本のアリアプロのストラトは、「TOKAI」前と、「TOKAI」後、のモデルという訳なのですねぇ。その後の「TOKAI」ですが、急にバカ売れしたメーカーの宿命か、「Talbo」なんて言う名機も残しましたが、ラインナップを増やし過ぎ、倒産となりました。ただ、今もまだ「TOKAI」は、存続しているらしく、こちらにホームページなどもありますが、このホームページの作りがまた安っぽくて、細々とやってるんだろうなぁ、と、想像されます。

 

 さて、うんちくはこのくらいにして、"KITARO SPECIAL"の制作に戻りましょう。(^^ゞ

 Kサンに実際にこの'80 アリアストラトを弾いていただいたところ、なかなか好感触の様子。C2コンデンサーがボリュームに入った「丸加スペシャル回路」も、テレキャス好きのKサンは気に入っていただけたようであります。

 で、ピックアップの移植ですね!(^○^)

 例の'77アリアのピックアップは、リアに取り付ける事に。センターには、意外にも「赤いキルトのフェルナンデス」に付いていたシングルコイルが、なかなか良くって、これに決定!このピックアップは、元々は2個あったのですが、21円ギターのアリアのマグナに付けて、K様に売却済で、1個しか残っていませんでした。
 フロントはどうしようか?そのまま'80アリアのフロントを使っても良いか、とも思われましたが、Kさんにうちのギターを試奏していただいたところ、うちの唯一のシャキシャキ野郎、ピンクのフェルナンデスのフロントについているピックアップを載せる事になりました。

 このピックアップは、元は、YAMAHAのRGXのボディーから部品取りをしたもので、見た目とは裏腹に、ストラトっぽい音がするヤツでした。

 さあ、これで作業方針は決定ですね。で、いろいろとこの'80アリアをいじっていると、塗装がすぐ剥げてきまして・・・・

 裏のスプリングボックスを見た時は、ナチュラルか?と思ったのですが、サンバーストのようであります。

 で、この塗装がぽろぽろとはがれるのに反応したのが、Kさんの奥様、Mちゃんであります。私のこのホームページ、どう見てもギターヲタクの男の人しか見てないだろうなぁ、と思っていたのですが、なんとMちゃん、このページが楽しくて見ているそうです。女の子で私のこのジャンクギターのページを読んでる人は、おそらく彼女一人でしょうねぇ。(^_^;)、

 ハンダ付けなども自分でやるというMちゃん、はがし始まったらもう止まりません。ピックを使って、黒の塗装を丁寧にはがしております。そうですねぇ、考古学者が遺跡を発掘しているかのような感じであります。30分ほどで・・・

 ここまではがしました。お〜〜!これは見事な木目!3ピースのようです。色はタバコサンバーストかな?いや〜、けっこういい材じゃないですか!あたりのギターの可能性が高いですねぇ〜。(^○^) 毎日オークションウォッチをしている私の眼力もダテじゃなかったようであります。

 個人情報の取り扱いもいろいろと問題になる昨今ですので、お顔は伏せさせていただきました。ご了承を。m(__)m

 

 で、夜も更けて参りましたので、パーツを取り外し、Mちゃんはボディーを持ち帰り、塗装のはがし作業を、私はパーツの仕上げを、と、二人で作業を分担する事になりました。完成時には二人のサインをどこかに入れよう!という事になっておりまする。

 という訳で、私は、パーツ類の作業です。

 実は問題が一つ発生してまして、なんと!ピックガードの穴にピックアップが入らないのであります。

 え〜、ストラトのサイズって決まってるんじゃあないの?オールドスタイルは、ピックアップも小さいのか?で、入らないのは、'77アリアだけではなく、フェルナンデスも、ヤマハのRGXも入らないのでありました。という事は、ピックガードの方が悪いのか?と思い、実は'77アリアをS-S-Sにするために・・・と密かに用意していた11点止めのピックガードがあったのでそちらで試したら、そちらも入りませんでした。ん〜、ほんの0.5mmほどなんですけど、長さ方向がつかえて入らないんですねぇ。仕方ない、削りましょう(^_^;)。

 

 丸形のヤスリで、削ります。

 ピックアップの取り付けネジ穴が、すぐそばなので、慎重に削ります。

 仕上げは、サンドペーパーで仕上げます。で、やっと入ったと思ったら・・・

取り付けネジの頭が、ピックアップにぶつかっています。アチャー。

 しかし心配ご無用!手持ちの頭の小さなネジに変更です。

 で、上の写真でももうお分かりですが、ピックガードもボディーと同じ様につや消しの黒で塗られていたのですが、シンナーでふいてみたところ、真っ白なピックガードが現れました。ワンプライの白のようです。

 で、黒の塗装がしてあったおかげで、黄バミなどの変色もなくまっさらな状態です。ん〜、私たちに発掘されるために、黒く塗られていたんだね、君は。

 さて、ピックアップの取り付けですが、リア、センターと順調に来たのですが、フロントのヤマハ、これ、元からボディー直づけ仕様のため、穴が大きく且つネジが切ってありません。

 さて、どうしようかなぁ〜?ナットを接着しちゃう、って手もあるんだけど、今回はアロンアルファに登場していただきました。

 穴の部分に少量を塗り、固まるのを待ちます。固まったところで、ネジをねじ込んでやると・・・あら不思議?(^_^;) まるでネジが切ってあるかの様に、ネジが入ってゆきます。
へへ、こういう裏技もあるにはあるんですよぉ〜。

 ただ、強度的にどれくらい持つかはわかりませんので、念のため、お尻にはナットを2重に付けておきました。

 Kさ〜ん!フロントのピックアップの高さを調整する時は、ご依頼くださいね〜!

 さ〜そして、アッセンブリーは「丸加スペシャル」回路にし、完成です。

 ついでなので、ピックアップのカバーを白で統一してみました。

 黒だと2個しか揃わないんで白にしましたが、Kさんのご希望があれば、色は変えますよぉ〜。レバースイッチのつまみも、白黒両方ありますので、お好きなのを選んでね〜。(^^ゞ

 さあ、後はいつものパーツ磨きです。まずはペグから。

 けっこうさびが出てますねぇ。

 いつもの魔法の水と錆び取り剤で、上くらいまではきれいになりました。

 アウトプットジャックのプレートも、けっこうきれいになりました。

そしてブリッジも・・・
ブリッジは、サスティーンブロック一体型で、磁石がくっつかないので、スチールではないですねぇ。これはオールド仕様なのか?不明。

クロムは磨きがいがあるから良いですねぇ。

さらに・・・

 ネジ類も、けっこうさびが出ていて、ネジ山がヤバいのとかがあるので・・・・

 手持ちのものも合わせて、程度の良いネジを選別。

 さぁ〜、後は、Mちゃんの仕上げたボディーと合体させれば、"KITARO SPECIAL"の完成です。いいギターになるといいなぁ〜。完成は数日中にご報告いたします。それと・・・ちょっとオタク的興味から、あるものをまたまたオークションでゲットしておりまして・・・。'77年アリアもこのままでは終わらないかもしれませんよぉ〜!
 次回をお楽しみに!

2005.11.07


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