あこがれの GRECO GO II! |
さあそれでは、リペア作業へと参りませう!どこまで使えるようになるかは、わかりませんけどね。(^_^)
まずは、ブリッジですねぇ。(~_~;)
この "T.S VIBRATE"。グレコオリジナルでありますが、たぶんですが、2点止めのトレモロブリッジって、これが世界で最初なのかなぁ?裏面にはちゃんと刻印がありますねぇ。磁石はくっつかないので、材質はアルミ・・・??
左側のスタッドと接する所のナットというか、ワッシャーというか、それが外れております。これをなんとかしないとね。外れているのは下のパーツ。
このリングの内側はナイフエッジ状に割と鋭い状態にはなっていますが、フロイドローズのナイフエッジほどの鋭さではないですね。
そしてスタッド側にもフロイドローズのように溝があり、ここがやじろべえの支点になりますね。フロイドローズはそれこそナイフエッジと呼ばれるようにかなり鋭いですが、こいつはそれよりはちょっと丸い?というか、接点が滑らかに位置を動けるように丸みがあるような印象です。
1978年当時にこれを発明したグレコのスタッフは、優秀でしたねぇ〜!
ブリッジ裏の現在で言う所のサスティーンブロックに当たる部分は、割と薄いです。で、真ん中にスプリングの心棒を通すための切り込みが空いています。前のページでも書きましたが、せっかくのスルーネック構造がこの "GO"のウリですので、なるべく穴を小さくしたい、という思想が感じられますね。トレモロの穴はかろうじてスルーの木の内側ぎりぎりに収まっております。今じゃスルーネックでもストラトタイプの穴がでっかく空いているのが普通になっちゃいましたけどね。
アームの取り付け部分も、考えられております。今回購入したこいつは、アームは欠品だったのですが、"GO"用のアームバーってのも独特なのですよね。差し込み部分にはネジは切られていない 5mm 径なのかな?で、上のように先割れになっているパーツを閉めてゆく事で、アームをじわじわと締め付けて、回転トルクを調整できるようになっています。そして、アームの取り付け位置がブリッジの真ん中、ってことでまっすぐなアームだと演奏の邪魔になるので、本来のアームは独特のカーブを持っていて、しかもかなりの長さのある奴・・・・・のはずです。とりあえずアームバーは手持ちの 5mm 系のものでネジの切ってないストラトタイプのものを流用しました。
さて、まずは裏のスプリングにゴテゴテと付いている半田を溶かして、ハンダ吸い取り器でとってゆきます。
上は、きれいにしてバラした所。心棒の先に帽子のようなスプリングの抑えが付いていて、ネジになっている心棒を回す事でスプリングのテンションを調整できるようになっています。
んじゃ、ブリッジの分解掃除と行きましょうか!
さすが30年ものでして、新品のようにピカピカにはなりませんでしたが・・
まぁ、こんな所まで磨きました。クロムは磨きがいがありますね。ゴールドメッキだったらとっくにはげてボロボロのはず・・・・
で、問題の外れているナットは・・・・・
とりあえず、裏からハンマーで叩き入れてみました(^_^;)。けっこうちゃんとはまった感じではあります。
で、組み立てていて、問題発覚!!
サドルの一つが、取り付けネジがバカになっていました(;_;)。そう、オークションの写真でもサドルの一つだけスプリングが入ってなくて、めいっぱい後ろに取り付けられていたのを思い出しました。
ただ、ネジを目一杯奥まで閉めると、その辺りのネジはバカになっていなくて、固定は出来るようでした。なので、そのサドルを一番後ろに来るであろう6弦に移し(最初は4弦についてました)、あとはオクターブチューニングが偶然合う事を祈るのでした・・・・(^_^;)。で、アームの可動域などを確認。アームダウンはアームの差し込み部分がボディーのザグリにぶつかる所が限界のようです。足りない時はここを削れば良いわけね・・・・えっ?削るの?(^_^;)。
で、なんやかやとアームをいじっていると・・・・・
あ〜ん、また左側のナットが外れてしまってます・・・・(>_<)。あ〜、ちゃんとはまったようでも緩いのね。
さてどうする?接着剤じゃ強度は出せないだろう。このナットというかワッシャーを万力で少しつぶしてやれば、キツくはまるか?いや、そう巧くはつぶせないだろう・・・。溶接かぁ?いや何か薄い金属でも挟み込んで、キツくしてやれれば良いのだが・・・・・と、いろいろと悩んだ結果・・・・アルミホイルを挟んで打ち込んでみました。ちゃんと隙間にアルミホイルが入っているかどうかは定かではありませんが、破ける事無く打ち込めました。いいのか?はみ出た部分をカッターで丁寧に切り取りました。今のところ大丈夫そう・・・ではあります。
さあ、次はネックのナットですね。
何でも出てくる、私の魔法の部屋(^_^;)。なぜかブラスナットの在庫がありました。
ありゃ、でも幅がちょっとが短いですね。でもまぁ、仮、ですからとりあえずこれで弦を張りましょう。もしこのギターが使い物になるようだったら・・・・・へへ、当然ローラーナットですね!
さあ、弦を張りますよ〜!弦はブリッジの上から穴に引っ掛けるだけという、シンプルな構造。弦交換は楽そうですね。
で、弦が張れました〜!懸案の6弦のオクターブチューニングも無事合いました(^_^;)。今回ペグの掃除はしておりません。ほら、やっぱり使えるようだったらいずれは・・・ロックペグに交換ですものね!
そしてそして!持った感じがなんか弾きやすい、と思ってメジャーをあててみたらば・・・・・!!!なんとこいつはミディアムスケール(ギブソン)でしたぁああ〜!ストラトシェイプの GO II だから、てっきりフェンダーサイズだと思っていたらば、あ〜、丸加スペシャル "GO" まっしぐらですねぇ(^_^;)。
さあ、うれしさ倍増でいざ試し弾きと思ったら、センターのシングルの音が出てない・・・・断線?キャビティ内の配線は見た目は大丈夫だったのですが、センターにテスターをあててみた所、導通がありません・・・。ピックアップも開けてみましょう!
シングルなのにこの金属のエスカッションが付いている所がまた、高級感ですねぇ。このエスカッションは磁石がくっつきました。
ピックアップの裏にもシリアルナンバーが入っていますし、ピックアップの穴の下には金属プレートまで入っています。さらに・・
ピックアップの取り付けネジは、木ネジではなく通常のボルト。受け側の金属にネジが切ってあるんですね。いや〜、やっぱり "GO シリーズ"は気合いの入った作りですねぇ。で、肝心のピックアップはというと・・・・
ピックアップ付け根で、ハースの線が切れておりました。唯一割れてないピックアップだったのにね。テスターで調べた所、ピックアップ自体は導通がありました。ついでに計った直流抵抗値は 10kΩ弱。フロント、リアとも同じでした。シングルにしちゃ大きい値ですね。音も期待できそうな予感!
で、センターピックアップの on/off スイッチですが、たんなる on/off なのに、6P のスイッチが使われておりました。ん?だったら、パラレルとシリアルの切り替えスイッチにしちゃおうか?と、配線図を書いてみる・・・・
あれぇ〜?確か 6P で出来たはずなんだが・・と、いくつも書いては悩む事数時間・・・。あ、やっと見つかりました。
で、たぶん正しいと思われる配線をしてみたのですが、パラレルにはなるのだが、直列にするとセンターの音が出ない・・・・。テスターで調べてみた所、ピックアップの裏のボディーに金属プレートが入っている事もあって、リアかフロントどちらかが、配線キャビティーに来る前にどこかでアースに落ちているらしい・・・・。で、とりあえず空中仮配線でリアとセンターの直列繋ぎだけやってみましたが、パワーは少々上がるものの、ハイが全然でなくて使いもになりそうも無い音だったので、元に戻しました。それぞれ 10kΩありますからねぇ、直列はこのピックアップでは現実的ではないようでした。
と、配線を戻してから、あ〜、センターの位相反転スイッチにする、って手があったなぁ〜と気づきました。そうするとブライアンメイの様なフェイスサウンドが作れますねえ。まぁ、それはまた後でやりましょう。
さてそれでは、お待ちかねの「音」を聞いてみましょう!比較対象は・・・うちにあるのでリアがパッシブのシングルって、一本しか無いので、あの、アームを使ってもチューニングの狂わない、アリア MATSUMOKU 製のストラトにご登場いただきましょう。
ただ、フレットは全然だめですぅ(>_<)。前のページの写真のように、2、3弦のへこみでチョーキングはまともに出来ないし、場所によっては押さえたフレットの上のフレットの音が出たりします。なるべくヤバい所を使わないように弾いてますが、所々変な音になってるのはフレットのせいという事にしといてくださいませ。(^_^;)。
リアシングル
クリーンまず、パワーがありますねぇ。抵抗値 10k Ω はダテではありません。まぁ右のストラトはかなりビンテージ系の昔のホントのストラトの音なので、最近のストラトよりはかなり出力は小さいのですが・・・。
GO のリアはストラトのような痛々しい感じのリアではなく、しっかりと芯のある音です。アタックの感じが右のストラトと全然違う事にお気づきかと思いますが、これならハム好きの私でも使えるかも?でもちゃんとシングルの音になっていますので、最近のハイパワーのシングルともちょっと違う音ですねぇ。このピックアップもグレコのオリジナル。当時こんな音のするシングルコイルは無かったでしょうねぇ。 フロントシングル
クリーンGO のこのフロントはもう私はこのまま使えます。パワーも音抜けも申し分無いです。そりゃ、HotRails とかと比べればパワーは落ちますが、シングルとしてこの音は、かなりすばらしいです!
右のアリアのストラトもけっこう良いですねぇ。21フレット仕様なので、フロント P.U. の取り付け位置が GO よりもかなりネックよりのため丸い音になりますが、丸いのにシャキシャキしているという、これは確かに昔のストラトの音ですねぇ〜。 リアとセンターの
ハーフトーンやっぱりシングルのハーフトーンは、美しいですねぇ。アリアのストラトほど、シャリシャリではありませんが、GO の方のハーフトーンもなかなかです。
ちなみに、ここには載せませんでしたが、GO のセンターオンリーの音もなかなか使える音でした。ただ今の配線だと、センターだけの音にしたいって時は、センターのスイッチをオンにして、手前のボリュームをゼロにする、って手間がかかるのでとっさにセンターオンリーには切り替えられないのですが、パワーはあるし、リアだとちょっとジャリッとしすぎるかな?ってときは、センターでソロをとるというのも行けそうな音でした。 GO 3つ全部を鳴らした
ハーフトーン?これは普通のストラトには出来ない技?ですね。3つのピックアップを全部並列で鳴らした時の音です。ほー、美しいクリーンサウンドですねぇ。 GO 歪みクランチ系の軽めの歪みで弾いてます。
シングルならではの攻撃的な音ながら、太さも低音の出もよく。ん〜、2ハムよりこっちの方が良かったかも?アームですが、アームバーが純正では無いせいもあって、かなり重たいです。バーが短いですからね。試しにリッチーアームを付けてみた所けっこう軽くなりましたが、ねじ込む部分にネジが切ってあるため、取り付け部分のネジを締め付けても、プランプランした状態で固定できないので、私的にはちょいと使いにくいかなぁ〜。アームの形状は、取り付け位置が真ん中なのですが、ちょっと角度の付いたアームバーだとそんなに邪魔にならずに弾けるみたいです。
アームの可動範囲は、フロイドローズほどは下がりません。というのも、サドルの弦の乗っている位置が、支点となるスタッドの位置に近いのですね。フロイドローズだと弦の出どこはもう少し後ろになるので、当然可動域が大きくなりますね。(過去記事のフロイドローズ考察の項をご参照ください)でも、GO の方は、このスタッド位置に近いという理由のため、アームアップ&ダウン時に弦高の変化も少ないです。これはこれで利点かな?可動域がそれほど大きくないとは言っても、多分通常の使用では支障がない程度です(^_^;)。アップもけっこう上がりますし、クリケット奏法も出来ます。十分今の私の道具として使える状態です。恐るべし!TS ビブラート!
試奏中、ひとつ問題が発覚・・・
弦のエンドですが、サドルのすぐ後ろの穴に引っ掛けるだけなので、ボールエンドの弦がよってある部分が、4弦だけサドルに乗っかっちゃって、音がちょっと変になってました。ん?この部分の長さって今まで気をつけてみた事が無かったけど、弦のメーカーを選ぶかも?ボールエンドに何かはさんで長さを稼ぐって手もありそうだけど、弦交換の時にはここの部分の長さを確認してから張った方が良さそうですね。
総評・・・・?(^_^;)。
とにかく各部に高級感が感じられる作り、そして30年前とは思えない現代的な音。ミディアムスケールに24フレット、アームという、私仕様。まぁ、難癖つける所があるとすれば・・・・、重いって事ぐらいかな・・・(^_^;)。
手にして弾いてみての感じは、ストラトシェイプだけど、ストラトとは全く違う感じで、イバニーズのロードスター2に近い感じです。まぁ、ヘッドの形も同じですしね。イバニーズってグレコの輸出用?で始まったブランドって思ってたんですけどあってます?(^_^;)。実は初代 GO とほぼ同じものがイバニーズから出てたのがあった様な記憶があります。それの発展系として AR シリーズがイバニーズ独自で出て来てそれがブレイクした・・・という大昔の記憶なのですが、真実はわかりません。
脱線しましたが、そのロードスター2よりもさらに弾きやすい理由があります。
ハイ、ネックの仕込み角です!上の写真のようにレスポール並みにネックの取り付けに角度が付いているので、ブリッジはけっこう高い位置に来ますね。このためボディー形状とは裏腹に、弾いてる感じはストラトよりもむしろレスポールに近いように感じます。それでてシングルサウンドなのに太めで高出力。ん〜、この3シングルのタイプを手に入れたのは、正解だったようですよぉ!
さて、今後のリペア予定ですが・・・・・丸加スペシャル GO になりそうな気配プンプンですが・・・
・とりあえず弾いてアームを激しく使って、あのリングが外れないかどうか、耐久テスト
・フレットは完全にダメなので、打ち直し(ハードル高そう・・(~_~;))
・やはりアームを使うとチューニングが狂うのでローラーナットの装着
・ペグもやはりロックペグに
・アームバーは何か良いの見つかったら手に入れる
・エルボーの所のカットはもうちょっとあっても良いかなぁ・・・(アラ、削る気?(^_^;))
・フロントセンターの音には大満足ですが、リアのピックアップは変えるかも・・・?
だって・・・・・使ってみたいのが、こんなにあるんですもの・・・・(^_-)。
色の塗り替えは最後の砦ですので・・・まだ断言はしませんです。
2009.04.18