なんでまたまたマグナ?-アクティブなんです! |
また買ってしまった、アリアのマグナシリーズ・・、今まで相当数のマグナを買っちゃってますので、マグナはもういらない!と思っていたのですが・・・・(~_~;)。
何で買ったかと言うと・・・裏に電池ボックス、センターのPUに Aria Pro II "SLAVE" PickUp の文字・・!。そう、丸加スペシャル mark II として生まれ変わったあのジャンクに最初についていた、アリア製のアクティブピックアップ!確かにセンターだけ出力が以上に小さかった・・。リアハムは異常に高音の出るハイパワー・・。本当は別にサーキットを付けてセンターは"slave"として使うのが正しいのか?その謎をこのギターを調べれば解明出来るのでは?と、それだけの理由で買いました。
お値段もジャンクのため安かったのでね。使い物にならなければ、ブリッジだけ売り飛ばしても、元は取れるだろうという、嫌らしい考えもありました。ハイ。ジャンクの理由は・・・
ネック裏のひび割れと、ミニスイッチの止めねじ紛失。その他は欠品無しで、アームバーもバックプレートも付いておりました。
ひび割れは、内部までいってるかどうかは不明ですが、スカーフジョイントの位置ではないので、ぱっくり割れる事はないかも?それにマグナのネックって、オークションでもたくさん出回ってますので、いざとなったらネック交換出来ますしね。
さて、完全ジャンクということで、まずシールドをさして音を出してみようと試みた所、音が出ません。さらにボリュームノブが固くてまわりません。
まずは電池切れが考えられますねぇ。
電池ボックスを空けてみると、006P 9Vの乾電池が2個入っておりました。あら、18V仕様なのね。
そしてサーキットキャビティの蓋の裏に基盤が付いておりました。
新品の電池を入れてみましたが、それも音が出ない・・・(>_<)。ん〜、基盤か?どこか断線か?といじっていると・・・・、電池に触ると”ボツッボツッ”という電源が入ったりきれたりする様なノイズが・・・。
はは、なんと!電池スナップの接触不良でした。手持ちの電池スナップに交換した所、無事音が出ましたよぉ〜!
ミニスイッチの止めねじは手持ちのものを付けました。
で、ここでサーキットを改めて調べてみて、がっかり・・・(~_~;)。
ピックアップ自体はパッシブで2芯が出ているだけでした。パッシブピックアップにアクティブサーキットを付けたモデル、ってことで、期待していたあのアクティブピックアップとは別物でありました。残念。でも、ベース等でも定評のある、アリアのアクティブサーキット、これはこれで検証するのも意義がありそうです。
で、どんな回路かと言うと・・・
コントロール系は上の通り。ピックアップの出力は皆基盤に入って、そこからフロントとリアの配線が出ていて、その後は普通にピックアップセレクターを通って、マスタボリュームからアウトプットジャックへとつながっておりました。
キモは、トーンですねぇ〜!基盤から配線されているフロントとリアのトーンは、2連ボリュームになっておりまして、センターにクリックが付いております。で、ミニスイッチは、それぞれのトーンのモードを切り替えるものでした。スイッチの片側では、普通のギターと同じ、コンデンサーを使ったハイカットフィルターです。そしてもう一方に切り替えると、周波数可変のブースターというか、パラメトリックイコライザーというか、そんな感じです。アクティブなイコライザーですね。
音は、こんな感じに変わります。最初はアクティブイコライザーで周波数を変えています。後半はスイッチを切り替えて、普通のトーンコントロールを動かしております。
パッシブピックアップにアクティブサーキット、って事ですので、センターに付いてる"SLAVE"のピックアップは、逆巻きのハムキャンセル用かな?と予想されますが・・・はたして?
リアハムバッキングの比較まずは、リアのハムバッキングを、ノーマルトーンの状態です。
ん〜、アクティブらしい切れのあるハムサウンドですねぇ。パッシブピックアップにアクティブ回路を付けるだけでも、ここまでなるんですねぇ。次は、トーンをアクティブイコライザーに変えて、センタークリックの位置で。
ん?こっちの方がやや抜けが悪いか?そして、そのイコライザーを、目一杯ハイ側に上げた状態。
お〜、効きますねぇ。シングルっぽくっていうか、EMGのSAっぽいか?比較用に、例のアリア製アクティブピックアプのリアハムです。
やっぱりこいつのハイの出方は尋常じゃないですねぇ。そしてやっぱり定番 EMG です。
非常にバランスよく上から下まで出てますねぇ。上のノーマルトーンの状態に近いと言えば近いですね。
フロントシングルの比較お次ぎはフロント。まずはノーマルトーンで。 この状態で EMG SA を聞いてみると・・・。 EMG の方が人工的な印象?マグナのフロントの方が自然なシングルコイルっぽいかなぁ?
ではマグナのトーンをアクティブイコライザーのセンター位置で。
ほお、!。普通のパッシブのフロントみたい。でもパワーは EMG 並みにありまする。で、イコライザーをハイ側に目一杯まわしてやると・・。
ジャリジャリのハイトーンですねぇ。ここまでは普通は必要ないかも・・?でもひずませるとまた違うかも。いや〜、なかなかいい感じですねぇ。パッシブ+アクティブサーキットってのも、EMG とはひと味違いながらもいい感じです。めでたしめでたし!
でも、これでメデタシ!と、終わらないのがヲタクであります。
"SLAVE" Pick Up の働きを聞き比べたいですよねぇ。ハイ!
このセンターの"SLAVE" Pick Up は、フロントのみと一緒に鳴るようで、リアハムのときはカットされる様です。
SLAVE ピックアップの比較
ノーマルイコライザーモードで、
フロントのみ〜Slave をプラスほー、SLAVE を加えると、ちょっとブライトになりますね。特にアタックの感じの、シングルらしいジャリとした感じが増します。 アクティブイコライザーモードでハイ上げ、
フロントのみ〜Slave をプラス基本的には同じですが、イコライザーを通した方がより違いがわかりやすいかな? Slave Pick Up オンリー
SLAVE のセンターピックアップは、ボディーからほとんど出っ張らないくらい低い位置に取り付けられてますので、出力は小さいですが、フロントをカットしても、ちゃんと音は拾っていますね。 始めの私の予想、逆巻きでハムキャンセル機能がこの SLAVE にはあるのではないか?を検証するため、ディストーションをかけてノイズの具合を比べてみました。 ディストーションで、
フロントのみ〜Slave をプラス予想通りでしたね。最初の無音部分でブーンと鳴っているノイズが、SLAVE をつないでやると消えます。 さてそれでは、PUを外してみましょうか!
密閉型のアクティブ風の作りですが、電源は行っておりませんので、パッシブのピックアップです。
フロントとセンターのピックアップの取り付けは、バネなしで、スペーサーで固定されていましたが、フロントピックアップは、もうちょっと弦に近づけても良さそうだったので、バネを仕込みました。フロントピックアップは、厚みがかなりありますねぇ。
となれば、調べてみたいぞ直流抵抗!
リアハムバッキング-------11.5kΩ
センターSLAVE-------------5.5kΩ
フロントシングル-----------4kΩ
ほぉ〜、フロントの方が Slave より小さいですねぇ。
これで、なんかこのギターの方向性がわかりました。フロントシングルの音に、ビンテージ的な繊細でじゃりっとした音を使いたい!で、直流抵抗値の小さい出力の小さいシングルを付けて、それをアクティブサーキットでブーストする。ただ、パッシブを後からブースとしてるのでどうしてもノイズがのる。そこでハムキャンセル効果のある Slave を追加する事でノイズを押さえる。そしてたぶん、敢えてキャラクターの違うのを Slave として取り付け、ミックス具合などでさらにシングルらしさを上手い具合に強調する・・・・ってのがこのギターのキモかな?っっと!
リアはハムバッキングが良いけど、フロントはシングルでしかも現代的な太いシングルではなく、ビンテージ系のシングルでイングヴェイみたいな音を出したい、ってな嗜好には、最適な方法でしょう。これだとリアハムとの音量的なバランスも取れますしね。
普通の S-S-H だと、どうしてもシングルはパワー不足に聞こえます。かと言ってフロントが妙に抜けない音になったり、アクティブにして現代的な音に鳴るのは嫌だ、というのを上手く解決しているギターですねぇ (^^ゞ。
※ ただし、フロントのノイズですが、ハムキャンセル効果で確かにかなり押さえられますが、EMGと比べるとそれよりはノイズがあります。リアハムからフロントに切り替えても、少しノイズが増えるのがわかります。でも、普通のこの手の音でこのパワーはあり得ないので・・・・・ね!
さて、それではここからは、通常のリペアというか、ジャンク再生作業に入りまする。
まずは、固くてまわらなくなっていたボリューム。アースを落とす場所がここしかないようで、すべてのアースが集まっているのでごちゃごちゃしてますが、配線自体はノーマルであります。
外してみた所、アクティブの定番 25kΩでしたので、手持ちのものと交換いたしました。
お次ぎは・・・ブリッジ!
かなりホコリが固まっておりますが、腐食等はあまりない様なので、多分きれいになるでしょう。
完全にバラして、魔法の水とCCRでお掃除です。
![]()
ハイ、きれいになりました。ホコリで見えなかった"GOTOH"のマークもくっきり!
お次ぎは指版とフレット。
指版は定番のオレンジオイルで!
フレットは、減りはあまりなく良好。けっこうジャンボめのが付いてますね。低音弦側のハイフレットにちょっと気になる所があったので、そこだけ擦り合わせをしました。まぁ、5〜6弦の19フレットより上とかって、使わない人は使わないからねぇ。
で、フレットは全体的に緑がかって曇っておりましたので、上のようにマスキングテープでガードしておいて、ペーパーをかけました。番手は超細かい #20000番。百均とかで売ってる、アクセサリー磨きとかでも行けると思います。
で、ネック周りはオッケーです。そりもやや順ぞり?ぐらいで、ネックも良好です。トラスロッドも効きましたよ。
ペグはやぱり GOTOH製。これもいったん外して、お掃除しました。ブラックメッキがちょっと剥げてる所がありますが、機能的には問題無し!
あとは、ねじ類で錆が出ている所をお手入れです。
上はリアハムのエスカッションを止めるねじ。ここは一番先に錆びますねぇ。CCR とアルカリ電解水で、ねじやまの中の汚れを取って、錆を落としまする。
上はネックの取り付けねじ。CCRを吹いて、ピンセットの先で優しく錆を落としてやりました。
は〜い、以上で完成で〜す!
いやいや、これはこれでなかなか良いギターであります。弦高もかなり低めにセッティング出来ましたし、フレットの状態もブリッジもばっちりですよ〜!ニュートラル調整をちゃんとした所、アームアップの量が私的にはちょっと足りない(普通の人には十分です、たぶん)かな?ってな不満があると言えばありますが、なんと言っても音が良いのが良いですね。パッシブ+アクティブサーキットもけっこう恐るべしでありました。
唯一の心配は・・・
このひび割れですね。念のため弦は 009-042 を久々に張って見ました。今のところ特に問題なさそうですが、将来はわかりませんね。
ではでは、最後にひずませた状態での音をお聞きくださいませ。
いろいろ試した結果の私のセッティングは、フロントはノーマルトーンの状態、リアはアクティブイコライザーにして、センタークリックから、ちょいとハイをブースト、って所がお気に入りになりました。下の音では、前半はフロント。後半はリアで、アクティブイコライザーをいろいろといじりながら弾いております。けっこういい効き具合で、いろんな音が作れるであります。(^○^)。
2008.11.16