ヤマハの山本恭司モデル、HR-3 |
K君の引っ越しに便乗して一時預かりとなった、ヤマハの山本恭司モデル、HR-3 のレポートです。
ハイ、独特の形の変形ギターですねぇ。ブログの方にも書きましたが、座って膝に乗せた時のバランスが絶妙でして、ネックがかなり体の左側に出っ張った感じになり、立って弾く時との差がほとんどないです。
ネックはセットネック、スケールはミディアム(ギブソン)スケール。ブリッジはヤマハオリジナルのフロイドローズタイプのものが付いています。
現状、特に不具合はありませんが、ネックがやや順ぞり気味。それと弦高の問題と思われますが、弦がフレットに当たり気味で巧く振動できていない感じです。パーツ類は錆はほとんどないですが、けっこう汚れていますので、分解調整&お手入れをしながら、このギターの詳細を検証してみたい思いまする。
ロックナットはケーラータイプ?で、通常のナットの上側に付けて弦をロックするタイプです。キャップを止める六角のねじですが、通常のフロイドのものより大きくて、太い六角レンチが必要です。
ブリッジはヤマハオリジナル。RGX なんかにも使われてるやつかな?でもこのタイプもいろんな細かい仕様の違うバリエーションがあるようです。
まずは、ブリッジの分解&お掃除をいたしましょう。
なかなかよく出来たブリッジでして、上のように弦は切らずに後ろ側から通せるようになっています。またサドル位置を調整する、オクターブ調整用のネジも付いております。フロイドローズのオクターブ調整って、指力でエイ!と押さえておいて、固定のネジを締めるってな少々面倒な作業が必要なのですが、このネジがあると、細かく調整できますねぇ。
また上の写真ではちょいと隠れて見えませんが、アーム差し込み口の後方にイモネジが付いておりまして、アームの回転トルクも調整できるようになっています。サドルの上にあるパーツは上のように跳ね上がります。通常はネジを外して跳ね上げる必要はなく、六角ネジを緩めて後ろから弦を差し込んでやると、サドルの隙間から弦が出てきます。これもなかなか巧い事考えられてますね。ロック用のインサートブロックを落としてなくす心配はありません。ただちょっとごついのが玉に傷かなあ〜?
完全に分解はせず、アルカリ電解水&CCRでお掃除して、上のようにピカピカになりました。クロムメッキは腐食が少なくてすぐきれいになりますねぇ。
ブリッジ取り付け用のボディー側のザグリにはプラスチックのカバーが付いています。けっこう深くザグられていますが、通常のフロイドタイプのザグリとはやはり形状が違いますね。
スタッドにはいつものようにナットソースを塗って、ブリッジを取り付けます。
裏のスプリングはけっこう錆び付いてヘタっていましたので、手持ちのものと交換いたしました。スプリングは2本です。
さてお次ぎはフレットのお手入れに行きましょう。
フレットは普通のノーマルなタイプですね。変形ギターですし、メタル仕様にするにはジャンボフレットに打ち変えたい所ですが・・・・(^_^;)。
フレットはけっこう腐食しており、全体に緑色になっていて、錆も見られます。
フレットの両脇にマスキングテープを貼り、#20000 のペーパーで磨いてやります。アクセサリー磨き用とかで売っている凄い細かい番手のペーパーです。
上左が磨く前、右が磨いた後です。ピカピカになりますねぇ。
24本磨き終わったら、指板は定番のオレンジオイルで整えてやります。
ペグも磨きましたよ!。ヘッドにはヤマハのマーク以外には何も入ってないんですねぇ。
ヘッド裏にはシリアルと"MADE IN JAPAN" の刻印がありました。
さて、一番気になるのは、ピックアップですねぇ。前のピックアップ聞き比べ大会でヤマハの SFX のもの、という事だった(パワーゲリラ?)、同じようなバータイプポールポイースのピックアップは、とんでもない高出力でふっといおとのピックアップでしたが・・・・
あ、まず外観が違いますね(~_~;)。SFX のものは片側が2点止めになっていますが、この HR-3 のものは1点ですね。またボビンの樹脂部分ですが、SFX のものはざらざらした表面になっていますが、HR-3 の方はツルツルの表面です。
裏面を見ると一目瞭然、別物のピックアップでした。残念。直流抵抗値も HR-3 はフロント、リアともに 12kΩほどでした。
問題は特にありませんでしたが、一応裏蓋もあけて電気系を確認・・・(^_^;)。
あ〜、ピックアップ切り替えのトグルスイッチは、レスポールのような裸のやつではなく、プラスチックの樹脂が付いている、いわゆる普通の電気系パーツですね。私はこちらの方が好きですね。ギター用の電気系パーツってなんか特殊で、普通のパーツ屋さんには無くて、楽器屋ではやたら高いんですよねぇ。
コントロール系はちょっと変わっております。普通の1vol.、2 tone かな?と思ったら、一番手前がマスターボリューム、そして真ん中がフロントだけのボリュームになっています。トーンはマスター。はぁ〜なるほど、セレクタースイッチのセンター位置でのミックス具合が調整できるとともに、フロントだけ独立ボリュームにする事で、プリセット的にフロントの出力を設定しておける、って使い方かな?
さあ、それでは弦を張って調整いたしませう!
このブリッジ、プレートの水平を把握しにくいのでニュートラル位置を決めるのがちょっと難しいですが、こんな感じかなぁ〜?
で、オクターブチューニングの調整に入ったのですが・・・・
サドル位置の調整用のネジ(六角)は、ニュートラル位置だとザグリの中に入っていて、回せないのですね。上の写真のようにアームダウンさせた状態でおしりを出していじります。でも、これは理にかなっているのかも?弦のテンションが高い状態で無理矢理回せないように、わざとこういう作りにしているのかもしれません。でも、ちょっとめんどくさいですねぇ。
各部の調整も無事終了!さてそれでは、音を聞いてみましょう!
フロントクリーン
リアクリーン
クランチ
パワーはあまり無いです。かといって高音が特に抜けるわけでもない・・・・・(;_;)。ピックアップはちょっとイマイチかなぁ〜?歪みは軽めのクランチで弾いてみましたが、まぁ歪ませちゃえば、それなりに良い感じの音になります。でもこの見た目のスタイルからすると、ハイゲインで太い音を期待してしまいますので、その期待からすると、ちょっと違う音が出ますね。でもピックアップは交換できますから、それこそパワーゲリラでも載せれば、なかなか良いギターになりそうなポテンシャルはあります。
ネットで調べた所、このモデルには上位機種として、"HR-1" というのと "HR-CUSTUM" ってのが存在するようです。HR-1 にはチューナー内蔵・・!CUSTUM はスルーネックにディマジオが付いているようです。
ただこの HR-3 もボディーのポテンシャルは高そうですね。何よりバランスが良いですし、セットネックでミディアムスケール。日本人にはとても弾きやすいギターです。ブリッジもとても安定してますし、アームアップもかなり出来ます。フレットをジャンボに打ち直してピックアップを載せかえるとかなりいい感じのメタル仕様ギターになりそうですが、預かりものなので改造はしませんよぉ!(^_^;)。
2009.04.07