GH1 の RAW 現像対決

Apple Aperture 3 vs Silkypix Developer Studio 3.0 SE

 

 ブログの方で報告いたしましたが、Panasonic のデジタル一眼(ミラーが無いのでレフではない) GH-1 を衝動買いしてしまいました。(^_^;)。

 ハイビジョンムービーも一応撮ってみましたが、まずはスチルカメラとしてどうなか?私もいよいよフィルムから離れるのか?と色々とテスト中でありますが、まずは、RAW ファイルの処理ソフトとして、アップルの Aperture 3 と、カメラに付属してきた、Silkypix Developer Studio 3.0 SE。この二つを比べてみる事にいたしました。

 ※( Apertuer 3 はアップルのサイトから30日のフリートライアル版をダウンロードして使っております)

 

 RAW 現像ソフトと言いましたが、Aperture 3 の方は、RAW 現像という概念は無く、正確には写真を仕上げるためのソフトであります。というのも、今の Mac OS X は、OS 自体で RAW ファイルをサポートしちゃっているため、単なる画像ファイルの一種類として扱えるので、ファインダーでのサムネイルやクイックルック、アプリケーションのプレビューでのファイル変換、iPhoto でも普通の画像ファイルと同じ様に扱えます。

 ですので、ここでは

  1. プレビューで RAW からそのまま jpeg に変換した画像。

  2. Aperture 3 で、普通に補正をかけた画像。

  3. Silkypix で RAW 現像をした画像。

 この3つを比べて、今後の写真の仕上げ方を探ってみようかな?と思います。

 


 まず、今回比較の二つのアプリケーションをいじってみた感覚など・・

Aperture 3

 実に細かくいじれるのに、インターフェイスはさすがアップル製ソフトで使いやすいです。そしてなんといっても良い所は、完全非破壊エディットであること!昔、なんて言うソフトでしたっけ? Photoshop がまだまだ重たいソフトだった頃、非破壊でさくさく作業して、最後にレンダンリングして仕上げるソフトがありましたよね?それに近いのかな?でも、後から長いレンダリングなどはする事無く、バックグラウンドで処理されています。
 ボタン一つで元のマスター画像と比較しながら、好きなだけいじって、気に入ったら"バージョン"として保存しておけ、いくつでもバージョンが作れます。新たにファイルを作るのではなく、エディットした情報だけを持ったものをバージョンと呼んでいるようです。元ファイルは元のまま常に残っていますので、安心ですね。

 ただ、うちの初代 iMac core duo では、ちょっとパワー不足かなぁ?プレビューの更新もワンテンポ遅れるし、バージョンの別ファイルへの書き出しなどはけっこう時間がかかります。まぁ、私のは趣味の写真なので、大量のファイルを処理する事は無いのでのんびりやれますが、仕事で使う方は、もうちょい速い Intel Mac が必要ですねぇ。

 左の画像処理用のインスペクタは、こんな感じ。画像はほんの一部ですが、このレベル補正の所はかなり細かくいじれますねぇ。Photoshop のレベル補正は大昔から進化していませんが、こういう進化をして欲しいものですねぇ。

 写真をいじるだけではなく、iPhoto の様に写真の管理データベースとしての機能も充実していますので、19,800円はお安いと思います。が、Intel CPU のみ対応なので、G5 で使えないのがちょいと難点・・・・。

Silkypix Developer Studio 3.0 SE

 GH-1 に府属してきたのは、3.0 SE ですが、現在は ver.4 になっているようですし、これの上位版に当たる "PRO" というのもあるようですね。PRO 版だと 26,000円ですので、 Aperture 3 よりややお高いですがノーマル版だとちょうど Apertuer と競合する価格帯ですね。こちらは完全に RAW 現像のためのアプリケーションですね。

 こちらも左の画像はほんの一部ですが、例えばコントラストが"調子"で軟調や硬調、カラーの設定ではフィルム調 ◯ ◯ といった様に、プリセットや設定項目などが、きわめて写真的な表現になっているので、今まで写真の現像の経験のある人にはかえって解りやすいかもしれませんね。ある程度プリセットを選んで、そこから細かい項目をいじって行くってなやり方が良い様に思いました。

 不思議なのは、トーンカーブはあるけどレベル補正に当たる項目が見当たりません。ヒストグラムの表示は見れるのですが、あのおなじみのレベル補正の画面は探せませんでした。そもそもアレはデジタルならではで、写真的ではないのかもしれませんね。

 Apertuer 3 に比べると、こちらの方が処理は幾分軽く感じます。まぁ、最新版や PRO 版で重くなっているのかもしれませんが・・・。

 

 


 

 では、実際に画像の比較と参りましょう。二つのソフトで、お互いの仕上がりを意識せずに(っていっても一人でやってるんだけど・・)、RAW 画像を見て、そこから自分の判断でそれぞれのソフトでいじって、オッケーだと思ったら書き出す。Apertuer 3 で一気に処理した後、同じファイルを Silkypix でまた一気に処理。出来上がりを比較、ってな作業工程です。

 


 

 はじめは、夜に部屋の中で、蛍光灯の明かりのみで撮った静物。水を入れた陶器に蛍光灯の反射も入れて、+1 ほど露出補正をしました。ピントはマニュアルであわせました。

プレビューから直接変換

 

Aperture
 

Silkypix

 

 RAW のままでもけっこうきれいに撮れてますねぇ。そのままでも良いですが、陶器の色を少し色っぽく出したいかな?というエディットを心がけた結果が上です。どちらもけっこういい感じになりましたが、後ろの白い部分を見ると、Aperture の方がちょっと青っぽいですね。Silkypix の方が、ホワイトバランスの補正は正解になったみたいですね。でも特に甲乙は無いですねえ。(^_^;)

 


 次ぎからは曇りの日に野外で撮ったものを補正して行きましょう。あいかわらず変なの撮ってますが・・・。

 

プレビューから直接変換

Apertuer

Silkypix

 これも特に補正しなくても良さそうに思いましたが、すこしコントラストをしゃきっとさせたいかなぁ・・・、といじっていたら、Silkypix の方は色味がけっこう変わって仕上がりましたねぇ。ただ、背景の空の白が、RAW や Apertuer では、ほとんど真っ白だったのが、ちょっと曇り空っぽく感じる様になりましたね。色味もたぶん Silkypix の方が正しい色で、上2つは緑がかぶってる感じなのでは?とも思いますが、好みは正しい色とは限らない・・・・。(^_^;)

 


 

 今度は、カラーからモノクロに加工してみませう!

プレビューから直接変換

Aperture

Silkypix

 どちらもそれほど変わらない上がりとなりましたが、Apertuer の方は、モノクロに変換するプリセットが、レッド、イエロー、オレンジなどのフィルターを使った上がりのシミュレートが豊富にあり、なかなかいい感じです。

 


 

 またまた曇天での写真

プレビューから直接変換

Apertuer

Silkypix

 曇天でしかもかなり夕方で暗めの状態で撮った写真だったので、少し暖かめ&緑を鮮やかにしたい、出来れば前景を際立たせたいな、と補正しましたが、Apertuer はちょっと赤みが強すぎたかな?でもまぁどっちもあり?

 


 最後も曇天日陰の写真です。

 

プレビューから直接変換

Aperture

Silkypix

 曇天の日陰なのに、元のRAW 画像の段階でけっこう優秀に撮れているのは、カメラが優秀だからかな?フィルムで撮ってたら多分アンダーで色もうまく発色できない様な環境でした。で、さらに色を鮮やかに、全体的にくっきり感を、とやってみました。多分いつものサビ写真系だとこういう処理が多そうですが、個人的な好みだと Apertuer かなぁ・・?

 


 

 以上、簡単なテスト&まだまだ私の操作スキルが上がっていない状態ではありますが、2つのアプリケーションを使ってみた感想!

 Silkypix の方は常に"正しい"感じの補正に仕上がる印象でした。自分なりの見た目だけで作業しても、最終的にはホワイトバランスや露出が適性な状態で仕上がるみたいですねぇ。RAW 現像、という観点で見るととても優秀。それ以上何かしらのプラスアルファな加工をしたければ、RAW 現像の後で Photoshop などで行うのがよろしいようですね。

 Apertuer 3 は、単なる RAW 現像ではないので、やろうと思えばもっともっとクリエイティブないじり方も出来そうでしたが、今回は基本的な補正だけをする範囲で使いました。そういう意味では、これ1本で最後までいける、Photoshop いらずのアプリケーションという感じですね。とはいっても Photoshop がいらないのは、あくまでも写真としての1枚の画像を仕上げるまでで、文字を入れたり、web 用にその他の様々な効果を使うにはやっぱり Photoshop は必要ですね。

 

 さて、そんな訳で、決定的にどちらが良い!という結論には結局至りませんでしたねぇ。(^_^;)。

 ただ写真の管理機能も考えると、カメラからの取り込み〜補正仕上げ〜写真の整理と、1本のソフトで流れて行ける Aperture 3 は、値段を考えると iPhoto から置き換えても良いソフトかな?ともいますので、多分買っちゃうと思います。補正仕上げの加工をしても、Apertuer 内部に補正のデーターだけ持っておいて、新たなファイルは必要な時にだけ作れば良いので、ファイルサイズを小さいまま写真を溜め込んでおけるっていう利点もありますね。

 

 いままで私の写真は、ネガフィルムで撮影、フィルムスキャナーでデジタル化、という流れで作ってきましたが、このフィルムスキャナーでの取り込み時に、意外と面白い設定に偶然出会う事が多く、それがまた楽しい作業でもあったのですが、デジタルの RAW 現像ではそれはあまり期待できないみたいですね。デジタルだと、ある意味きちんと"真"が写ってしまうみたいです。

 今度はフィルムカメラと2台ぶら下げて、同じものを撮ってみて比べてみるってのも、試してみたいかも・・・・重いけどね。(^_^;)。

 

2010.3.24

 

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